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チベット医学でいう罨法とは薬剤或いはその他の物を温める若しくは冷やして患部に当て、薬剤及び温度等の物理作用を利用して、血行を促進させることによって疾病を治療する療法です。チベット医学史書で最も初期では、紀元前100年余りに、チベット人が酒粕、牛や羊の胃内に残った草、殺したばかりの動物の皮等を患部に当て、炎症止め、痛み止めとして利用したことが記録されています。《四部医典》には罨法の原理と薬剤及び治療方法が一章を割いて記述されており、現在も民間療法として広く利用されています。



1.冷罨法

星水(夜明け前のまだ星が出ている時に汲んだ水)を吹き付ける、或いは牛や羊の胃に詰めて冷やし患部に敷くと、拡散傷熱、波動熱、熱性の刺すような痛み等を治療することができます。また星水を注ぐことで、伝染性の熱病、波動熱の熱症の拡散、陳旧熱等を治療することができます。

目を鋭器で負傷し化膿した場合は、星水を羊の胃に詰めて冷やしたものを患部に当てます。
熱性の刺すような痛み、血胆症、川底で冷えた石や古い犂の鉄を患部に当てます。
鼻血が止まらない場合は、星水と水溜りの底の泥を用い、額の髪の生え際と、後頭部に冷やしたものを当てます。



2.熱罨法
本療法は寒性の疾病に用います。しかし熱性の疾病に有効な場合もあります。

炒めた食塩を布で包んで温めたものは、消化不良、食物未消化、急性腹痛等に効果があります。
外傷による炎症や内出血がある場合は、水中の石を焼き温めたものを当てると、腫れ止めと痛み止めになります。
産後の下腹部、腎臓及び仙椎に痛みがある場合は、東向きのモルモット(朝日がよく差す為)の巣穴付近の土に酒を吹き掛けた後温め、それを患部に当てます。
胃、小腸の冷えによる痛みは、両手をもみ合わせて温め、それを痛む部分にあてると効果があります。



1.適応症
全てのペーケン病、剣突腫瘍、胃鉄垢症、胃熱の衰弱、湿?、筋肉萎縮、リウマチ等。消化不良、急性腹痛、黄水病、血液凝固、熱性の痛み等に本療法を用いることができます。



2.禁忌症
浮腫、チーパ・チャヤナルボ、ハンセン病、水腫、肥満、できもの等の症状がある場合、及び食事を終えたばかりの場合は、この療法を用いることはできません。



3.原理探求
本法は薬剤と温度の作用を通して、皮下と筋肉の間の空隙を広げ、気と血液のめぐりを良くし、散熱(或いは散寒)を止め、通風による除湿で、治療の効果を達するというものです。




 

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