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11.蓬灸療法
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チベット医学でいう利尿法とは、利尿剤を服用し、排尿を促すことにより体内の病原を排出するという治療方法です。西暦8世紀のチベット医学経典《四部医典》にはこの療法についての章が設けられており、今日まで続く不朽の療法です。



1.治療前準備
利尿療法を行う前夜、アルラ(Terminalia chebula Retz.)、毛訶子(Terminalia bellerica(Gaertn.)Roxb.)、余甘子を、各疾病治療薬に等分に混ぜ、それを煎じたものを二、三度内服し、拡散した病原を収斂させます。その後、雪蛙の肉、カ二の殻、ショウズク(Elettaria cardamomum L.)、冬葵子(Malya verticillata L.)、蒲桃(Syzygium cumini(L.)Skeels.)、小川の中で砕かれた雲母、洋ナタマメ、メチャクジュン(Ochotona erythrotis Buchner.の糞)モ、チベット砂糖を調合したものを服用します。或いは、雪蛙の肉、寒水石、山奈、ヒハツ、木藤寥(Polygonum aubertii Hem)、ジエンツァ(Light halite)、ショウズク(Elettaria cardamomum L.)、ジガワ(Thlaspi arvense L.)を調合した薬を服用すると、尿道が通りよくなります。突発的な発症で、上述の洗浄が間に合わない場合は、青ヨモギ全草に酒かすを加え全身を洗い、その後植物油と甘松を混ぜたものを全身に塗り、その際に百会、外陰及び各関節を念入りにマッサージします。またトウサンショウ、冬葵子のスープを飲むと、脈動が拡張します。



2.利尿法を行う
(1)尿道浄化
はじめに、ショウズク、カニの殻、メチャクジュンモ、冬葵子を細かく砕き、熱症の場合は冷めたお湯で、寒症の場合は酒を用いて服用します。もしくは、熱症の場合は白砂糖、寒症の場合はチベット砂糖を用いて服用しても構いません。これらは利尿法を行う前に疾病を攻撃する作用があります。

(2)病原を排出する
尿道を洗浄した後、ジャツァ(Salammoniacum)、丁香、カニの殻、朱砂、冬葵子、黒砂糖或いは白砂糖を調合したものを用い、体内で騒ぐ病原を排出します。

(3)利尿薬
六味ハンミョウ丸
ハンミョウ、ジャツァ、カニの殻、朱砂、紅花、滑石、硼砂を各等分、それに水生昆虫を各薬剤の二倍分入れ細かく砕き、これに酒を用いてエンドウ豆大の丸薬にします。

(4)用法
前日の夕方に利尿薬を、冬葵の葉を使った料理に少量の塩を混ぜて服用します。第1更(更は夜の時間を表す単位、1更から5更まである。第1更は11時〜12時半ぐらい)に尿道の洗浄を行い、夜半に薬剤の投与を始めます、明け方に利尿薬を9錠服用します。また病状に合わせて、熱症の場合は白砂糖或いは沸かした水、寒症ならばチベット砂糖を用います。おおよそ日の出のころには病状が改善されます、改善されない場合は続けて7錠服用します。病状か改善したら、最初の丸薬が完全に消化されるのを待って、再度5錠服用します。さらに消化された後再び5錠を服用すれば、ハンミョウ中毒が引き起こす痛みや疾病の痛みを和らげることができます。

利尿剤を服用した後、体がしびれる、患部の疼痛、腹部が熱を持つ、陰部の疼痛、痒み、腫れ等の症状がある場合、これらは尿道から病原となる物質が排出されつつあり、薬剤が疾病を治療している証です。その際は薄い酒を飲み利尿を促進させ、尿道から病原を排出します。熱がある場合は、お茶或いは乳製品で利尿を促進させてもよいでしょう。もし病原がなかなか排出されない場合は、引き続き利尿薬を服用します。服用後上半身、下半身の各部に痛みがある場合、小石を炒めて熱し、温めた酒とともに混ぜて痛む部分に擦り込みます。悪寒、黄水がある患者、痛みが激しく病原がなかなか排出されない患者は強薬を用いざるをえないため、利尿療法を用いる際には、保温と強薬による利尿法の運用に気をつけます。排出された物質が紫色の膿血、綿状の物や小粒状の各種雑物の場合、疾病が治療された証です。その際には利尿剤の投与を停止し、再度利尿促進剤を服用した上で、残った病原を排除するよう努めます。



3.治療後の処理 
利尿薬服用後、不良反応が現れた場合、制吐法、探分散、導滞留、鎮痛、通陰塞、止瀉法等の6種の措置を行います。

(1)制吐法
服用後、排出感がなく逆に嘔吐感がある場合、冷えた石を敷き詰め、香りのよい薬剤を燻して鼻から吸い込み、こめかみ付近の頭髪を掴み、冷水を顔面に吹き付けます。その際、両肩を押さえ、体を動かさないようにします。

(2)探分散
利尿剤を服用後、いかなる排尿反応もない場合、薬剤が古くなり効果が失効していないかどうかを調べます。また調合は合っているか、薬剤の分量は多すぎないか、少なすぎないか、熱症、寒症用の薬剤を間違えていないかどうか等、原因を突き止め、再度正しく服用し効果を見ます。

(3)導滞留
病原が停滞し、胃が詰まる感じがある場合は、背部を入念にマッサージします。手を火に翳して温めてからその手を腹部に当て暖める、或いはお湯に少量のジエンツァを混ぜ、何口かに分けて飲めば効果があります。

(4)鎮痛
下腹及び前陰部に刺すような痛みがある場合は、石を炒めたものを酒に浸して温め、それを用いるとよいでしょう。この方法で効果がない場合、黄水残留患者は、ジャツァ、カニの殻、ヒハツを共に細かく砕き、白酒で服用します。それでも効果がない場合は、ルン病が引き起こす痛みである可能性があるので、古い骨のスープをお粥に混ぜて飲み、痛みを止めます。

(5)尿道疎通
排尿困難の多くは、精液、不純物、凝固した血液、結石等が尿道に詰まっていることが原因であり、その場合は手で生殖器を揉み解し、乳搾りの要領で外に絞り出します。或いはジャツァ、川木香(Vladimiria souliei(Franch.) Ling.)、水菖蒲、胡椒等を煎じた汁に導管を用いて尿道に注入しても効果があります。

(6)排尿抑制
服薬後排尿が止まらない患者、身体が強壮な患者、治療を必要としない場合は排泄感が止まったところで終了します。または、紫草茸、山礬葉(Symplocos paniculata(Thunb.)Miq.)を煎じて熊胆を加えたものを内服しても排尿を止めることができます。



4.善後処理
寒症の患者には、新鮮で薄めの酒、脂身のある羊肉、温めたツァンパスープ等を摂らせ、最初は量を少なく、そして除々に増やしていきます。
熱症患者の場合は、ガリバー(黄牛と牛の子孫)の脂身のある肉のスープ、長時間沸騰させて冷ました水、薄味の麺粥等を摂らせます。
療法を行った後は、体を冷やさず、性交を行わず、疲労しないようにします。適度に散歩し、半月余りは衣食住に注意を払ってください。



1.適応症
嘔吐、瀉下、滴鼻、浣腸等の療法で疾病が排除できない、長患い、不妊症或いは産後の不妊症、死産で胎児が排泄されない、子宮腫瘍、婦人性の出血過多と血液病、中毒、熱が続く症状等に効果があります。また痛風、肢体の痺れや痛み、できものによる痛み、スルヤ瘡(太陽型膿腫)、水腫、血管腫瘍、尿道の詰まり、尿道腫瘍、皮膚の痒み、頭部の疾病による不整脈、長患いの潰瘍、黄水過多、腎臓病から引き起こされる燕芒症(腰が伸ばせない症状)、ハンセン病等の各疾病に本療法を用いることができます。特に病原が脈道、尿道に侵入している場合、最も効果があります。



2.禁忌症
妊婦、小児、尿の濁り、夢精及び性交能力の低下と関係のある疾病がある場合はこの療法は使えません。また体質虚弱者も本法を行うことはできません。



3.原理探求
ハンミョウは脈中の黄水を排出します。ジャツァはとカニの殻は脈道、尿道を拡張し、病原を排出します。紅花は脈道の硬化を防ぎます。朱砂は必要な栄養を吸収し、不純物を分解する作用があります。硼砂は疾病を収斂させる効果があります。滑石は薬効を患部に集中させる効果があります。



 

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